◆【キノコは植物か?】 キノコは本質的にはカビとまったく同じもので「菌類」と呼ばれます。近年、「菌類は(動物ではなく)植物から分かれた説」が有力になっています。植物と菌類の異なる点は、次のとおりです。
●植物は葉緑素を持ち、光エネルギーによりブドウ糖のような有機物栄養をつくりますが、菌類は葉緑素を持たないため、落ち葉や木材、その他の有機物のなかにもぐって有機物を分解、吸収して栄養とします。
●植物の細胞壁はセルロースという物質からできていますが、菌類はキチンという物質です。
●植物の細胞は二次元的(タテとヨコ)に分裂しますが、菌類の菌糸は先端生長の一次元的です。
●植物の体細胞では花粉、胚のうから来た核が合体して1つの核になりますが、菌類は合体しません。
●生活様式からは、植物は植わっていますが、菌類は木材などの基物にもぐって生活しています。
◆【キノコの分布と生態】
●日本列島は亜熱帯から亜寒帯まで約3千kmに長く連なっていますが、現在日本に自生するキノコは4千種以上あるそうです。
●キノコは胞子が気流に乗ったり、鳥や昆虫に付着して運ばれたり、菌根をつくる植物に伴って分布すると考えられています。「菌根」とは、キノコの菌糸が植物の根にからみつき、植物の根から栄養分を吸収することをいいます。
●菌根をつくるキノコには、マツタケ、ヌメリカサ類、イグチ類、ベニタケ類など多くの種類があります。キノコの菌糸がラン科の植物の根のなかに入るキノコもあります。死んだ生物の有機物につくキノコには、枯れた木材につくシイタケ、ナメコなど、落ち葉につくクヌギタケなどがあります。また、生きている植物につくものでは、カラマツに寄生するナラタケなどが知られています。
◆【キノコの役割】
●自然界の中での菌類は、細菌などとともに分解者の役目を果たしています。森林という生態系のなかでは、生産者である植物、消費者である動物、分解者である菌類の三者が役割を演じています。キノコがなければ森林は成立しないといっても過言ではありません。
●食用としてのキノコは生活には欠かせません。新鮮な柔らかいキノコの成分は、90%が水分で残りが固形物です。固形物の組成は糖質52%、粗タンパク質25%、脂質、繊維質各8%、灰分が7%です。
●キノコのうま味に関係するものはアミノ酸で、たいていのキノコに存在するのは、その中でもアスパラギン酸、グルタミン酸、アラニンです。
●健康食品として利用度が高いシイタケは、うま味成分がイノシン酸、味はグアニル酸、香りはレンチオニンがその主成分です。健康食品としてのシイタケは、干したもののほうが効用が高く、水を入れたコップに干しシイタケを1個入れて一晩おき、その水を飲むとビタミンDやシイタケに含まれる抗がん成分が、体に好い作用を及ぼすといいます。酒の肴にシイタケを食べると早く酔うそうです。うれしいですね!
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