◆源氏物語 今から約千年前の平安時代中期、紫式部によって仮名文字で書かれた国文学の最高傑作「源氏物語」が生まれました。物語には四季移り行く草・木・花など自然を取り入れた平安貴族の生活ぶりが描かれています。
◆平安貴族の装束とかさね色目 平安時代の衣服の色彩美は、1枚の織物の色や模様で表現されるのではなく、袷せ仕立て(裏地のついている着物)の衣では表と裏の色合いで、また、装束では何枚かの重ね着した衣の色合いによって表現されていました。 このような色の組み合わせを「かさね色目」といいます。かさね色目は藤・つつじ・杜若(かきつばた)・花橘(はなたちばな)・・など花の名前がつけられているものが多く、季節や花の美しさをそのまま装うように春夏秋冬・TPOに応じて衣替えを行っていました。
◆平安時代の染色 化学染料が存在しない平安時代の染色は、すべて植物の天然染料を材料としていました。天然染料には直接染料と媒染染料があります。 直接染料は染料から抽出した染液に布や糸を浸すと、ほぼ液と同じ色に染まります。 媒染染料は繊維を色素で染めつけるため媒染剤を必要とし、媒染剤の種類によって1つの染料から複数の色相を得ることができます。
●紫系染料:
紫根(ムラサキ);ムラサキ科・ムラサキ属の多年草・媒染染料
●赤系染料:
蘇芳(スオウ);マメ科・ジャケツイバラ属の低木・媒染染料
紅花(ベニバナ);キク科・カルタムス属の一年草・直接染料
茜(アカネ);アカネ科・アカネ属の多年草・媒染染料
●青系染料:
藍(アイ);タデ科・タデ属の一年草・直接染料
●黄系染料:
黄蘗(キハダ);ミカン科・キハダ属の落葉高木・直接染料
梔子(クチナシ);アカネ科・クチナシ属の常緑低木・直接染料
刈安(カリヤス);ススキに似た多年草・媒染染料
黄櫨(ヤマハゼ);ウルシ科・ウルシ属の落葉小高木・媒染染料
●茶系染料:
丁子(チョウジノキ);フトモモ科・フトモモ属の常緑高木・媒染染料
●黒系染料:
矢車(ヤシャブシ);カバノキ科・ハンノキ属の落葉小高木・媒染染料
木象(クヌギ);ブナ科・コナラ属の落葉高木・媒染染料
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