◆2月初旬、母の死に遭遇した。多くの方から生花を霊前に供えていただいた。悲しくもあるが美しい花である。大勢の人に支えられて生きていることを実感する。
◆我が家もそうであるが日本人の大多数が菩提寺をもつ仏教徒であろう。仏壇の「曹洞宗日課諸経要集」に眼を通した。この中の「修證義」(しゅしょうぎ)の冒頭に「生(しょう)を明め死(し)を明らむるは仏家一大事の因縁(いんねん)なり・・ただ生死(しょうじ)すなわち涅槃(ねはん)と心得て・・」とある。「涅槃」とは「迷いの無い境地にたちいった状態」と解釈するらしい。
◆お釈迦さまは「諸行無常」・「諸法無我」・「涅槃寂静」という三大真理を悟られたという。
●「諸行無常」 「世の中のすべての現象は因(原因)・縁(結果)の法則により変化するものである」という。すべてのものが移り変わることを知って目前の小さい変化に心を動揺させてはいけない。利害得失に心を向けずにお互いが感謝しあい平等愛と一体感をもって仲良く生活していこう(一大事ということ)・・というメッセージらしい。
●「諸法無我」 「世の中のすべての物事は必ず他の物と関係づけられている」という。一人の行いは大勢の人に影響を及ぼす。小さい自我にとらわれた考え方をするとそこには必ず対立や争いが生じ奪い合いや殺しが生ずる。常に前向きに善い方向へ努力していこう・・というメッセージらしい。
●「涅槃寂静」 「迷いをすっかり吹き消すと人生苦がなくなり平穏な安定した生活が得られる」という。「諸行無常」・「諸法無我」を悟ることによって得られる理想の境地であるとのこと。諸行無常の真理を忘れ、原因を考えないで結果だけにとらわれると苦を招く。また、諸法無我の真理を実践し、お互いの小さい我(が)を捨て自他をともに生かそうという気持ちに徹すれば、他との調和が生じいつも安らかな心でいることができるという。
◆三大真理を悟るということは容易にはできない。日々の修行と努力が必要でしょう。死とは悲しい縁である。
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