【アケビ】
●アケビはアケビ科の落葉つる性の木本植物で、日本以外にも朝鮮半島や中国の山野にも自生します。つるは左巻きに他の樹木にまきつき10〜15mにも伸長します。10月ごろ長だ円形、長さ6〜10cmの果実が淡紫色に熟して垂れ下がります。
果実は縦に一方が開き、中に黒い種子を包んだ白くて甘い果肉があります。
●雌雄同株で4〜5月ごろ総状花序をなして、3個の蕚片が淡紫色の花弁状に見える花をつけます。雌花は基部に少数咲き円柱形の雌しべが3〜6個あります。雄花は雌花よりも小さくて多数咲き6個の雄しべがあります。葉は長い柄のある掌状複葉で、小葉は5枚、長だ円形で縁に鋸歯がありません。
●アケビの園芸品種に花が白色で果実が乳白色の「シロバナアケビ」があり、盆栽仕立てに使用されます。
●【アケビの近縁種】
[ミツバアケビ]
ミツバアケビも北海道から九州にかけて分布しており、葉は小葉が3枚の掌状複葉で、小葉は広卵形で縁に波状の粗い鋸歯があります。
花は濃紫色なのでアケビと区別がつきます。果実はアケビに比べやや大きく実つきも良好です。
【ムベ】
●ムベはアケビ科で別名を「トキワアケビ」といい、関東以西、四国、九州、沖縄、朝鮮半島に分布する常緑つる性の木本植物で、果実は卵円形、長さ約5cmで10月に紫色に熟します。アケビの果実に似ますが裂けないところが違います。果実は白色で甘くて美味です。
●雌雄同株で4〜5月ごろ散房状の総状花序をなして、6個の蕚片が花弁のように見える白色に淡紫色を帯びた小花をつけます。アケビ同様、つるは長く伸び他の物に巻きつきます。葉は互生し長い葉柄のある掌状複葉で、小葉は5〜7枚、だ円形、長さは6〜10cmです。
●ムベは暖地性の木ですが、耐寒性もあり関東北部まで植栽ができます。樹勢が強く植え場所や土質を選びません。つるは10数メートルにもなり、近くに木があるとそれにからんで、放置しておくと枯らしてしまいますので注意が必要です。
【アケビ・ムベの仕立て方】
四ツ目垣やフェンスにからませる垣根仕立てでは、つるが繁茂しかなり重くなりますので、しっかりした材で組んでおきましょう。棚仕立てやアーチ仕立てでは一定の高さまで小枝を取り、幹を1〜2本にして仕立てます。ほかには、1本の高いポールにからませるポール仕立てがあります。また、盆栽仕立てや鉢仕立ての場合は、整枝と施肥に十分注意し、充実した短枝を作るように管理が必要です。
【アケビ・ムベの利用】
●アケビもムベも昔から縁起のよい吉祥木とされてきました。アケビは「開け実」とも語呂が合い、種子が多く繁殖力が旺盛で、子孫繁栄の吉祥木とされてきました。また、ムベの葉は若木のうちは小葉が5枚ですが、年を経るにつれて小葉が7枚になりまもなく開花し実を結びます。常緑で葉が増えていくところから家運隆盛の吉祥木とされてきました。
●どちらも果肉が食用になるほか、ムベは果実の傷みも遅いので、つるを少しつけて生花材料に用いたり、カゴなどに活けておいても野趣に富み、なかなか風情があります。 ●アケビやミツバアケビは薬用として使われます。生薬名を木通といい、腎臓炎、膀胱炎、尿道炎などのむくみ、利尿に、また無月経などに乾燥した茎を煎じて服用します。夏の開花期に茎を採取し外皮をはいでから輪切り、または細切りにして日干しにして使用します。
●アケビの春にでる新芽(「キノメ」という)や若葉は、おひたしや和え物にしてもおいしいですね。天ぷらは風味があります。熟した果実はそのまま食べるか果実酒にもできます。アケビの皮もまた食用になります。天ぷら、から揚げに、短冊に切って味噌油炒めにします。今回は、果皮のなかに味噌油炒めのキノコ、ナス、タマネギなどを詰め、フライパンで蒸し焼きにして野趣あふれる秋の味を楽しみました!
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