今回は、ミカンを紹介します。ミカンは暖地性の果樹です。昔、産地のミカン山でもぎたてを頂いたときの味は忘れられません。極早生種は９月下旬から晩熟系は１２月まで次々ともぎたてのミカンが店頭に並びます。お正月にも欠かせない果物ですね。山の斜面で陽を浴びながら育つミカンは、その果皮までが私たちの健康に役立ちます。ミカンの干した皮は、煎じて健胃、解熱、せき止めなどに効果があります。ミカンで健康を増進しましょう。

ミカン

◆ミカンの原生地はインド東北部で、ここから中国にわたり日本に渡来しました。ウンシュウミカンに代表されるミカンは、寛皮性(かんぴせい)（果皮が果肉部と完全に密着しておらず、ゆるんでいて、やわらかく、むきやすい性質）をもっていることが特徴のカンキツ類です。今では栽培が少ないキシュウミカン（別名：コミカン）は中国が原産地ですが、ウンシュウミカン（温州ミカン）は鹿児島県が原産地です。ここではウンシュウミカンについてご紹介します。

◆【ウンシュウミカン】（温州ミカン）
●鹿児島県出水郡長島町が原産地です。中国の温州から遣唐使がもたらしたカンキツの実生から、約３００〜３５０年前に偶然に発見されたと推定されています。原木は種子ができやすいものでしたが、明治時代になって栽培が広まるにつれて、種子のない優良品種が突然変異で現れてきました。
明治２８年ごろ、大分県津久見市青江で突然変異で早生系が発見され、その後次々と新系統種が作り出されてきました。
●[ウンシュウミカンの特性]
木は低木性で、下部より分岐する性質があります。葉は大形で翼はほとんどありません。花は白色で花弁の先端は外方に曲がり、花柱は花糸より長く柱頭が突出します。花粉は少なくほとんど退化しており、果実は系統により差がありますが８０〜１００ｇくらいです。果皮は薄くてむきやすく、果肉部分は分離しやすい。果肉は甘味、酸味が適度で柔軟多汁、種なしが普通です。
●[栽培の適応]
年平均気温が１５〜１７℃が適地ですが、理想的には１６〜１７℃ですから、南は鹿児島県より北は神奈川県、千葉県に至るまでが経済的栽培地域といえます。冬期の最低気温がマイナス８℃以下に下がるところでは、若木などは枯死しますのでマイナス５℃が耐寒の限界です。

◆【ウンシュウミカンの品種】
●[極早生ウンシュウ]
９月上旬〜下旬に着色し出荷される極早生種で、「宮川早生」の枝変わり品種です。「宮本早生」、「山川早生」、「上野早生」などがあります。
●[早生ウンシュウ]
熟期が１０月中旬〜下旬で、樹勢の強い品種が多くあります。
「宮川早生」、「興津早生」、「三保早生」などがあります。
●[早熟系普通ウンシュウ]
熟期が１１月上旬〜中旬で、「南柑２０号」、「久能温州」などの品種があります。
●[中熟系普通ウンシュウ]
熟期が１１月中旬〜１２月上旬で、「杉山温州」、「南柑４号」、「シルバーヒル温州」、「大津４号」、「林温州」などの品種があります。
●[晩熟系普通ウンシュウ]
熟期が１２月上旬〜中旬で、「十万温州」、「今村温州」、「青島温州」などの品種があります。

◆【隔年結果と摘果】
●ウンシュウミカンの花芽の分化時期は１２月下旬からである。翌年の春、結果母枝の頂芽および短い新梢の先端に花がつきます。結果母枝としては充実した春枝がもっとも望ましい。この結果母枝の多い年は果実がたくさん実りますが、多く成った年の春枝の伸びは少なく、翌年果実は少ししか実りません。そして、その翌年はふたたび結果母枝が多くなって果実が多く実るという現象を繰り返します。
このように果実がたくさん成る成り年（表年）の翌年は果実が少ない不成り年（裏年）になる隔年結果をおこす性質があります。
●隔年結果を防ぎ、良質の果実を得るために摘果作業が重要です。時期は６月からの生理落果の終わる７月中旬〜８月に、傷果や病虫果、さらに小果を摘除して、普通ウンシュウでは２０葉に１果、早生ウンシュウでは２５〜３０葉に１果の割合で良果を残すようにします。

◆【ミカンと健康】
果実には100g中35mgのビタミンＣが含まれていますので、１日３個食べれば成人１日の必要量を満たします。
果皮を乾燥させたものは陳皮(ちんぴ)といい健胃薬です。果皮はまた香辛料として七味唐辛子の原料であり、薬湯料としても用いられ身体を温める効果があります。
果汁はジュースにしたり、シャーベットにしてもおいしいですね。

◆ミカン手入れのポイントはこちら♪

◆当家のミカンは極早生系の上野早生である。鉢植えで２鉢栽培している。ここ新潟での地植え栽培は管理がむずかしいため、極早生種を鉢栽培することにした。
３年前の早春に植付け、昨年から実が成り始めた。今年４月植え替えを行った鉢は今年も実を多くつけてくれた。