◆ユズ(柚)はミカン科の樹高4〜6mになる常緑高木で、カンキツ類のなかでは耐寒性が最も強く、主として庭木として植栽されています。もちろん、果実を利用できることも植栽される大きな理由です。
◆中国の揚子江上流が原産地で、日本へは朝鮮半島を経て渡来しました。果樹としての栽培は高知県や徳島県に多いようです。耐寒性が強いため東北地方(青森県の沿岸や福島県)にも栽培されています。また、暑さにやや弱く、果樹としての生産地では、高冷地や山間地に栽培されています。深根性で排水良好な土地を好み、水田跡地などは生育がよくありません。
◆【ユズの特性】
●木は直立ぎみで枝はやや疎生し、耐寒性に強く暑さにやや弱いので、温帯地方に適します。葉の大きさは中くらいで、小さい翼葉があります。
●カイヨウ病にはほとんど冒されず、ヤノネカイガラムシに対しても絶対的抵抗性をもちますので、病虫害の防除は比較的容易です。また、樹勢が強く庭植えでは放任状態でも結構良果が得られます。
●果実は鮮やかな黄色を呈し、果実の大きさは130g程度で剥きやすい。果肉は淡黄色で柔軟多汁、酸味が強いので生食はされませんが、香気が高尚であるため料理に利用されます。
◆【ユズの品種と近縁種】
●ユズの品種は多くはなく、本種のほかには「無核ユズ」が知られるくらいです。近年、品種改良がなされ、刺が小さくて少ない「とげなしユズ」が多く販売されています。 ●ユズとは別種ですが、ユズの近縁種である「ハナユ(花柚)」は、花の香りが優れた矮生種のカンキツで、果実がユズと同様に料理に利用されるため、花柚という美しい名前がつけられました。ハナユは矮性ですが、葉はユズの葉よりも大きく、翼葉も小さくて目立ちません。果面もユズに比べ粗く凹凸がありますので、外見上ユズとの区別が容易です。矮性ですから鉢植え栽培には最適です。 ●ハナユは摘果をしないと隔年結果をおこす性質が強くあります。7月中旬〜8月に傷果や病虫害果、さらに小果を摘果するのはもちろん、実のすべてを摘果した枝を半分程度残すようにすると隔年結果を防ぐことができます。ユズと同様、カイヨウ病、ヤノネカイガラムシには抵抗性があります。施肥はユズより少なめにします。
◆【ユズ、ハナユの収穫と利用】
●ユズは12月中旬〜下旬になると鮮やかな黄色に着色しますので、過熟にならないうちに収穫します。果実は酸味が強いので生食には適しませんが、果皮、果汁は香気が高いので、香味料や食酢として料理に利用します。多く収穫のあった場合などは塩を入れて食酢として保存もできます。果皮は砂糖漬けにして、ケーキにも加工できます。
●ハナユは8月ごろ、果実がまだ青いうちでも料理に利用できます。12月になりますと着色し始めます。冬暖かい地方では必要の都度収穫し利用しますが、冬寒く果実が樹上で越冬できない地方では12月に収穫します。
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