◆【ヒアシンスの特性】
●ヒアシンスは原産地がシリア、イラク、トルコで、ユリ科のヒアシンス属、耐寒性のある秋植え球根で春４月ごろ開花します。草丈は２０ｃｍ、地中海沿岸に３０種類ほどある原種のうち、オリエンタリスという１品種から園芸品種が誕生したといわれています。
●日当たりと排水のよい適性酸度pH６〜７の砂質土壌を好みます。自然分球率が低いため、繁殖はノッチング法やスクーピング法などの人口的分球法で殖やします。
◆【ヒアシンスの品種・系統】
●[ローマン系]：
フランスで改良された系統種で、花つきは少し粗いのですが強健で分球力があり、花立ちのよい性質があります。花色は紫青色、ピンク、白色の３品種があります。
●[ダッチ系]：
オランダで改良された系統種で、分球率は低いのですが花つきは密で花色も多く八重咲きの品種もあります。わが国ではこの系統種の栽培が多く行われています。花色や品種も多くあります。
[青紫色系]:デルトブルー、ビスマルク、グランメートル、キングオブザブルース
[赤色系]:ジャンボス、ラビクトワール
[ピンク系]:レディーダービー、マルコニー、ピンクパール
[白色系]:カーネギー、リノサンス
[黄色系]:シティオブハーレム、イエローハンマー
◆【栽培のポイント】
●肥大、充実した健全な球根を選びます。
●植え付けは１０月上旬に、粗い川砂６、赤玉土３、腐葉土１の配合土に、１リットル当たり小さじ１杯の苦土石灰を混和した培養土などに植え付けます。
●秋から冬は鉢土を乾かさないように鉢土表面が乾きかけたらすぐに水やりを行います。また、２〜５℃の低温に十分合わせ、花芽の正常な発達を図ります。
●鉢植えの場合は、花後に花穂を切り除き根を傷めないようにして株を抜き、日当たりのよい庭に植え替えます。芽が黄変したら球根を堀上げて風通しのよい場所で乾燥させ、葉と根を除いて秋の植え付け期まで涼しい場所に保管します。庭植えの場合は２年に１回くらい植え替えを行います。
●肥料は、球根の貯蔵養分で花が咲きますが、葉色や花色をよくするため、春の出葉期に１０日に１回を目安に液肥を２回くらい施します。花後、庭植えにしたものには１株当たり約５ｇの玉肥を施します。
◆【ヒアシンスの水栽培】
●水栽培はクロッカス、スイセン、サフラン、チューリップなども可能ですが、ヒアシンスは水栽培には最適です。水栽培は子供たちにも喜ばれますね！芽吹いた葉を割るようにしてつぼみが生長する様子や水の中で白く伸びる根の美しさを観察することができます。
●水栽培のもう１つの魅力は、土を使う必要がないという手軽さと清潔さです。窓辺やテーブル上で身近に花と接することができます。
●市販の専用容器を使用した方法について紹介します。球根は大きく充実したものを選び１０月下旬から１２月に開始します。
水は容器の上の球根の底すれすれに入れます。直接触れていなくても球根は水分を感じ根を伸ばし始めます。浸し過ぎは球根を腐らす危険があります。
明るいと根はよく伸びられないので冷暗所に置きます。黒い筒などで覆って１月下旬ごろまで十分低温に合わせます。
根が５ｃｍほど伸びたら球根との間が１ｃｍほどあくように水位を下げます。水の腐敗を防ぐため水は月に３〜４回取り替えます。
根が容器底に回るくらいに伸びたら、日のよく当たる暖かい窓辺などに出して花芽の生長を促します。約１ヶ月で開花します。
花が咲くまでの間は、花茎が傾かないように容器を回して日光が均一に当たるようにしましょう。
●お正月に咲かせたい場合には、水を入れた容器を９月中旬〜１１月下旬まで冷蔵庫の中で保管します。その後取り出して暖かい場所に置きますとお正月には花が観賞できます。
◆【ギリシャ神話】
スパルタ王の息子ヒアキントスは美少年で、日の神アポロンと風の神ゼフィルスに愛されていました。ある日、アポロとヒアキントスが輪投げで遊んでいると、風の神ゼフィルスがそれをねたんで、ヒアキントスの額めがけてアポロの投げた鉄輪に強風を吹かせました。ヒアキントスは倒れ息が絶え、傷口から流れ出た血はたちまち草や大地を染めました。そこから悲しい愛をこめた紫色の美しい花が咲いたのがヒアシンスだったといいます。
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