今回は山野草のナルコユリとアマドコロを紹介します。草姿や花がよく似ています。緑の葉とスズランに似た緑白色の花が美しいですね!ナルコユリとアマドコロの違いを対比しながらご紹介します。
ナルコユリ
◆【特徴】 ●原産地は日本・中国・朝鮮半島で、ユリ科・アマドコロ属の多年草です。本州以南の日本の丘陵地や山林に自生します。 ●ナルコユリの根茎は、肉質で太く、節状になって地中を横に伸びます。 ●茎は、丸い断面をしており、傾きながら立ち上がり、高さは50〜100センチにもなります。 ●葉は、互生、被針形に近い楕円形で、長さが10〜15センチ。葉裏は白味を帯びています。 ●花は、6月ごろに長さ2〜3cmの緑白色の筒状花を2〜4個、葉の脇から鈴を下げたようにつけます。果実は小さな球形の液果で、熟すと黒くなります。
アマドコロ
◆【特徴】 ●ナルコユリと同じく原産地は日本・中国・朝鮮半島で、ユリ科・アマドコロ属の多年草です。日本全国の丘陵地や山林に自生します。 ●アマドコロの根茎は、黄白色の円柱形で地中を横に伸び、ところどころに節があります。 ●茎は、稜があり角ばっており、傾きながら立ち上がり、高さは30〜80cmほどです。 ●葉は、互生、葉幅の少し広い楕円形で、表面がやや堅く厚みがあり、葉裏は白味を帯びています。 ●花は、5月ごろに長さ1.5〜2cmの緑白色の筒状花を1〜2個、葉の脇から鈴を下げたようにつけます。果実は小さな球形の液果で、熟すと黒くなります。
◆【管理と手入れ】 ●繁殖力は、毎年地下茎を伸ばし旺盛です。耐寒性、耐暑性、耐陰性にも強い性質がありますが、夏の直射日光には30〜50%の遮光が必要です。 ●施肥は、地植えの場合はほとんど必要としません。鉢栽培の場合は3月と9月に油粕玉肥など少しだけ施肥しましょう。 ●植え替えは、2年に1回、2月下旬〜3月下旬、または10月上旬〜11月中旬に行います。植え替え時に繁殖を兼ねて株分けを行います。
◆【利用と用途】 ●庭の池の端や下草など庭園の植栽材料として利用できます。 ●斑入り葉のアマドコロ(”斑入りナルコユリ”の名前で市販されている)は、鉢植えにも向きます。また生け花や茶花の材料としても重宝します。 ●生薬として利用されています。ナルコユリの生薬名は”黄精”(おうせい)、滋養、強壮の薬効があります。アマドコロの生薬名は”いずい”、ナルコユリと同様に滋養、強壮の薬効があります。どちらも根茎を乾燥させ煎じて飲用します。 ●どちらもリカー酒として利用できます。根茎200g、同量の砂糖、1.8リットルのホワイトリカーを、アマドコロは3ヶ月、ナルコユリは6ヶ月冷暗所で熟成します。一日20ミリリットルを限度に服用しますと生薬と同じ薬効があります。
◆【名前の由来】 ●【ナルコユリ】 花が鳴子の鈴に似ていることから「鳴子百合」と名付けられたといいます。「鳴子」とは、昔 田畑の害鳥を追い払う目的で作られた道具で、板に糸で竹筒をつけ縄にぶら下げておき、縄を引っ張ると鳴って鳥を驚かせました。 ●【アマドコロ】 根茎がヤマノイモ科のトコロ(オニドコロ)という植物に似ていて、食べると甘みがあることから名づけられたといいます。
◆【当家のナルコユリ・アマドコロ】 ●画像右のナルコユリは、数年前に山菜採りに出掛けた際のお土産である。頭を垂れ静かに花の咲いているその姿が仏さまに思えたから不思議である。1株をいただき小庭のガマズミ樹下に植栽した。今では10数本もの株立ちになっている。 ●画像右下の斑入り葉のアマドコロは”斑入りナルコユリ”の名前で市販されていた。斑入り葉の中で咲く花が美しかったので数株購入し、昨年まで鉢で栽培していた。鉢の中も2〜3年経つと所狭しの感じ・・今年の春にナルコユリの近くに植え付けた。アマドコロはナルコユリに比べ花の咲く時季が早い。生け花用に!と重宝がられている。