◆【ネジバナの特徴】
●ラン科の常緑宿根草で、別名をモジズリともいいます。原産地は東南アジアで、日本でも北は北海道から南は沖縄まで広く自生します。
●日当たりのよい湿った草地や山地に自生します。また芝生に好んで生える性質があり、都市公園の芝生の中にもよく見られます。草丈は5〜15cmです。
●葉は、やわらかく厚みがあり、細長い楕円形で、数枚株元から根生します。
1本の花茎を立ち上げ頂部に螺旋(らせん)状に捩れた花序をつけます。捩れの方向は左捩れ、右捩れの両方あります。
●3〜5mmほどの小さな花は、花茎の周りを捩れながら密着するように真横に向かって咲きます。花色は通常淡紅色ですが、白色も見かけます。花期は4月から7月です。
◆【類似種】
小形のヤクシマモジズリ、ミヤマモジズリ、ナンゴクモジズリ などがあります。
◆【モジズリの名前の由来】
●陸奥(みちのく)の国・信夫(しのぶ)郡(現在の福島市)には、平安時代「信夫文知摺絹」(しのぶもちずりきぬ)という、乱れた摺り模様が染め抜かれた絹織物が都人に珍重されました。ネジバナの右に左に捩れる(もじれる)様が、「文知摺絹」の文様に通じることから、モジズリ(捩摺)の名前が生まれたようです。
●歌の世界では「信夫文知摺絹」の乱れ模様が、人の心の乱れを表す歌枕「しのぶもちずり」として用いられました。河原左大臣・源融が虎女との悲恋を詠んだ歌が古今集にありました!
みちのくの 忍ぶもちずり 誰ゆえに みだれそめにし われならなくに
「陸奥の信夫に産する しのぶもちずり の乱れ模様のように あなたを想うと心が乱れてしまいます」
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