◆【シャクナゲ亜属】
●常緑の潅木から高木まで約300種が含まれます。北米に3種、ヨーロッパに3種が分布、そのほかはアジア、とくにネパール・ブータン・中国(四川省・雲南省)地域に集中分布しています。日本には、ヤクシマシャクナゲ、ホソバシャクナゲ、アズマシャクナゲ、ホンシャクナゲ、ツクシシャクナゲ、キバナシャクナゲ、ハクサンシャクナゲなどが知られています。 ●西洋シャクナゲや単にシャクナゲと呼ばれるものは、園芸品種です。プラントハンターによって19世紀に多くの種が主に中国からイギリスに導入され、数多くの園芸品種が作出されてきました。特に、日本原産のヤクシマシャクナゲは花や葉裏の毛が美しく、コンパクトな樹形になることから交配種として世界中で利用されています。
●シャクナゲ亜属は常緑で無毛または分枝する毛のある厚い葉をもち、枝の先端に花芽を一つ、その下に数個の葉芽をつけるのが特徴です。植物の分類学の父といわれるリンネは、常緑の葉をもつシャクナゲ属(ロードデンドロン)と落葉するツツジ属(アザレア)とを認めましたが、その後両属はツツジ属(ロードデンドロン)としてまとめられました。この名残から、現在でも園芸学上、常緑の葉をもつヒカゲツツジ亜属とセイシカ亜属もシャクナゲと呼ばれることがあります。
◆【日本シャクナゲ】 日本シャクナゲは近畿以西には花冠が七裂するものが、中部以北には五裂するものが分布しており、高山や北地に育つものもあります。
●[ヤクシマシャクナゲ]: 屋久島に分布しており、葉裏、花柄、子房の毛がより多い。葉は小形で照りがあって美しい。
●[ホソバシャクナゲ]: エンシュウシャクナゲともいわれ、愛知県・静岡県に分布し、葉が線状倒被針形の細い種類で、花冠の先は五裂し、雄しべ10個の淡紅花が5月に咲きます。
●[アズマシャクナゲ]: 山形県・宮城県以南、関東、甲信地方に分布し、花冠の先は五裂し、雄しべが10個あり、葉裏には淡い褐色の毛が密生します。
●[ホンシャクナゲ]: 愛知県・長野県・富山県以西、四国に分布し、花冠は七裂し、葉裏に淡褐色〜灰色の短い圧伏した毛があります。
●[ツクシシャクナゲ]: 本州の南畿以西、四国、九州の山地に分布。高さ2〜4mの常緑低木で、5月ごろ淡紅色の漏斗状の花冠の先が七裂し花径4〜5cmの美しい花が咲きます。雄しべは14個あり、雄しべの子房に褐色の毛が密生する。枝は太く葉は互生し倒被針形〜長だ円形、長さ8〜20cm、両端がとがり縁に鋸歯がなく、革質で厚い。葉裏には褐色の長い綿毛が密生しています。
●[その他]: 高山に咲くものに、葉がやや薄手の淡桃白色のハクサンシャクナゲ、黄色の花が咲くキバナシャクナゲがあります。 |