ナデシコ 02年10月
No.3
ムラサキシキブ

みどりの空間で、旅先で、庭先で・・こころの癒しのメッセージです。
コーヒー?紅茶?緑茶?・・香りを楽しみながら読んで観てくださいね♪


万葉の山野草展:万葉集にみる秋の植物


 

◆9月10日〜11月17日の期間・新潟県・新津市にある県立植物園で「万葉の山野草展」が開催されている。「万葉の植物」と「万葉の歌」の展示がされています。
万葉の植物は秋の七草をはじめ、わたしたちの身近にある草花や草木です。自然と共存した万葉人の心が少しわかった気がしました。このページでは「万葉集にみる秋の植物」と題して、秋の植物を詠んだ歌を紹介します。


 キキョウ
  キキョウ

◆【キキョウ】[万葉名:あさがほ]
あさがほは 朝露負いて 咲くといえど 夕影にこそ 咲きまさりけれ   作者不詳

「あさがほは、朝露を浴びて咲くというのに、夕方にも見事に咲き、なんと見栄えがすることでしょう」
朝顔は奈良時代にはまだ渡来してないので、あさがほはキキョウとされています。全国に現存するキキョウの個体数は推定2万個体、絶滅危惧U類(環境庁カテゴリー)に分類されており、100年後の絶滅確率は100%とされています。

  

 オミナエシ
  オミナエシ

◆【オミナエシ】[万葉名:をみなへし・姫部四・佳人部為・など]
手にとれば 袖さへにほふ をみなへし この白露に 散らまく惜しも   作者不詳

「手にとると袖までその色が映え移るような女郎花が、この白露で散ったら本当に惜しいですね」
オミナエシはオミナエシ科・秋の七草の一つ。淨血、排膿、解毒に効用あり。腫れもの、利尿に根を乾燥し煎じて飲みます。

  

 ハギ
  ハギ

◆【ハギ】[万葉名:はぎ・芽子・芽・波疑・波義]
秋風の 末吹きなびく 萩の花 共にかざさず 相か別れむ   大伴家持

「秋風が吹かれてなびく萩の花を、一緒に楽しむことなく別れてしまうのは寂しいものですね」
家持が島根県の東部に左遷させられたときに送別会で詠んだ歌である。萩の花は万葉集で一番多く(141首)詠まれています。ハギはマメ科の落葉小低木・秋の七草の一つ。根を乾燥し煎じて飲むと、めまいやのぼせを鎮める効果があります。

  

 ヤバネススキ
  ススキ

◆【ススキ】[万葉名:すすき]
◆【ナンバンギセル】[万葉名:おもひぐさ・思草]
道の辺の 尾花がしたの 思い草 今さらになど 物か思はむ   作者不詳

「道端のススキの根元に咲くナンバンギセルのように、いまさら何を思い迷いましょうか(あなたのことだけを思っています)」
尾花はススキのこと。その下に隠れるように咲くのがススキに寄生して花を咲かせるナンバンギセルです。花がうつむき加減に咲くことからも、ひそかな恋心、片思いを連想させ、思い草の名がついたといわれています。
思い草の名がナンバンギセルとなったのは、江戸時代に南蛮人が持ち込んだオランダギセルに形が似ていたからといわれます。

  

 ケイトウ
  ケイトウ

◆【ケイトウ】[万葉名:からあゐ・韓藍・など]
我がやどに 韓藍蒔き生ほし 枯れぬとも 懲りずてまたも 蒔かむとそ思ふ   山部赤人

「庭に植えたケイトウが枯れてしまっても、懲りずにまた蒔きましょう。やっぱりだめだったけど、また諦めずに自分の思いをぶつけてみよう」
山部赤人は聖武天皇の宮廷歌人。失恋の気持を表現しています。ケイトウはヒユ科の1年草・昔は染料として利用していました。

  

 ヒガンバナ
  ヒガンバナ

◆【ヒガンバナ】[万葉名:いちし・壱師]
路の辺の 壱師の花の いちしろく 人皆知りぬ わが恋妻を   作者不詳・柿本人麻呂歌集

「道端に咲くヒガンバナのように、はっきりと他の皆に知られてしまった。私の愛する妻のことを」
他の人の目にさらしたくないと夫が思うほどの魅力的な奥方だったのでしょうか。ヒガンバナはマンジュシャゲともいわれ、秋の彼岸のころ赤い花を輪状に咲かせます。花が咲いているときは葉がなく、花が終わってから葉が茂ります。球根には毒を含みますが、水にさらして毒抜きをして昔は飢饉のときに食用にしました。

  

 マユミ
  マユミ

◆【マユミ】[万葉名:まゆみ・眞弓・檀]
(こも)刈る 信濃の眞弓 我が引かば 貴人(うまひと)さびて 否と言はむかも   久米禅師

「信濃の国の弓を引くように、私があなたの気を引いたら、貴人ぶって「イヤ」というでしょうね」
久米禅師がプロポーズしたときの歌です。マユミは昔から弓を作る材料で信濃の国は弓の産地でした。マユミはニシキギ科の落葉樹・紅葉が美しくピンク色の実がなります。材から弓をつくったことから名がつけられました。若芽は食用にもなります。

  


 

◆「万葉に詠まれた有用植物」も併せてご覧ください。

◆「万葉集の植物を詠んだ歌」は、下記ページにもありますのでご覧下さい。
[タチバナ]: 四季の手入れ・バックナンバー スダチ
[秋の七草]: 四季の手入れ・バックナンバー キキョウ
[カキツバタ]: 四季の手入れ・バックナンバー アイリス類
[アカネ・ムラサキ]: 四季の手入れ・バックナンバー ハクチョウゲ
[ヤマブキ]: 四季の手入れ・バックナンバー ヤマブキ

◆万葉集に多く詠まれている植物は、ハギ(141首)・ウメ(129首)・タチバナ(68首)・サクラ(42首)・ベニバナ(29首)・フジ(27首)・ナデシコ(26首)・ウツギ(24首)と続きます。

  
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送